甲状腺疾患

甲状腺疾患とは

  • 甲状腺は身体の発達や成長を促すホルモンを分泌するだけでなく、新陳代謝を高める役割を持っています。そのため、甲状腺でトラブルが起きると、身体にさまざまな異常が発生します。
    甲状腺の疾患は、甲状腺の形状や甲状腺ホルモンの作用に由来することが知られています。ただし、ほかの病気と間違えられやすい特徴もあるので、ぜひ甲状腺関連の治療経験を豊富に持つ当院にご相談ください。

  • 主な甲状腺疾患の症状

    • 首がはれている
    • 疲れやすくなった
    • 月経が不順になった

    など

    甲状腺ホルモンが過剰な場合に多い症状(甲状腺機能亢進症)

    • 安静にしているのに、心臓がドキドキする
    • よく食べているのにやせてきた
    • 手指が細かくふるえる
    • イライラしやすくなった、落ち着きがなくなった
    • 暑がりになり、水をよく飲み、汗をたくさんかく

    など

    甲状腺ホルモンが不足している場合に多い症状(甲状腺機能低下症)

    • 体が冷え、寒がりになった
    • 食欲がないのに太ってきた
    • 肌が乾燥し、カサカサになった
    • 体が重く、だるく感じるようになった
    • 朝起きた時に、顔や手がむくむ
    • 昼間も眠く、居眠りをするようになった

    など

  • 主な対応疾患

    甲状腺腫瘍(甲状腺がん)

    乳頭がん

    乳頭がんは、甲状腺がんの9割以上を占めることで知られています。このがんの組織を拡大して見ると、形状が乳頭に似ていることからつけられた名称です。そのため、乳頭にできるがんを意味するものではありません。進行は比較的遅いですが、肺やリンパ節、骨などに転移しやすい特徴があるので油断はできません。

    濾胞がん

    甲状腺がんの中で1割程度を占めるのが濾胞(ろほう)がんです。診断を確定しにくいがんなので、疑いがあっても小さいうちは経過観察として、4cmを超えたころに確定することが一般的です。乳頭がんと同様に進行が遅く、予後も順調なことが多いです。

    未分化がん

    症状として、発熱のほか甲状腺の痛みや腫脹が見られます。さらに悪化すると呼吸や嚥下のしにくさも起こりますし、血痰が出る場合もあります。末期の段階にいたっては、リンパ節や気管、食道や骨、肺などにも転移が起こる症例が多いです。また、転移が起きた臓器でも重い症状がみられることも知られています。

    悪性リンパ腫

    「悪性リンパ腫」は甲状腺でもリンパ節でも起こりますが、リンパ節にできる場合より甲状腺にできるものの方が扱いやすい特徴があります。まず、甲状腺の悪性リンパ腫は、適切な治療で治癒可能ですし、命にかかわることはほとんどありません。これは、B細胞からできる甲状腺の悪性リンパ腫が、T細胞からできるリンパ節の悪性リンパ腫よりも治療の効果が出やすいためです。
    また、甲状腺の悪性リンパ腫は橋本病の発症者にできやすいことが知られています。バセドウ病発症者にも見られますが、症例として多くはありません。

  • 橋本病(慢性甲状腺炎)

    橋本病とは自己免疫の異常によって起こる慢性の甲状腺疾患なので、慢性甲状腺炎と言われることもあります。発症のきっかけは解明されていませんが、女性に圧倒的に多く、男性よりも20~30倍も多いとされています。年齢的には未成年にはほぼ見られず、20歳代後半から発症例が増え、30~40代で最も多い疾患です。症状としては、甲状腺が炎症で腫れることが多く、甲状腺の機能にも異常が起きる症例も見られます。

  • バセドウ病

    バセドウ病になると、甲状腺機能亢進症が起きて甲状腺ホルモンの量が過剰になります。甲状腺ホルモンは代謝をコントロールするので不足すると弊害がありますが、多すぎる場合は臓器への負荷となって健康上の問題が起こります。

当院で行っている主な検査

  • 血液検査

    甲状腺機能が狂うと、血中の甲状腺ホルモン(FT3、FT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度が上下します。治療に際しては、甲状腺ホルモンの上下を見ながら内服薬の調整を行っていきます。また、橋本病では抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、バセドウ病ではTSHレセプター抗体(TRAb・TSAb)などの自己抗体が血中に認められるため、診断には血液検査が必須です。

  • 超音波検査

    バセドウ病や橋本病では、甲状腺が腫れることがあります。また、甲状腺が腫れている場合は、内部に腫瘍がないか確認する必要があります。

  • 心電図検査

    バセドウ病では、頻脈や不整脈から心不全に陥ることがあります。また橋本病では徐脈の傾向がみられることがあり、心電図にて脈拍や不整脈の有無、心不全徴候などを確認します。

  • 胸部レントゲン

    甲状腺疾患は心不全の原因となることがあります。レントゲンにて心拡大や胸水を認めないか確認します。

早期治療を行い、
日常の生活に戻れる
サポートをいたします

甲状腺の疾患は症状が表れにくい特徴を持っています。そのため、甲状腺疾患の治療経験が少なく、専門知識を持っていない医療機関では悪化するまで発見されない可能性もあります。当院は甲状腺疾患への対応を多数行っていますので、甲状腺の異常が疑われる場合はぜひご相談ください。甲状腺の治療は長引くことも多いですが、日々安定した暮らしを取り戻せるようにしっかりとサポートしていきます。

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